高卒が大企業から派遣エンジニアに転職して感じたリアルな本音【体験談】

はじめに

私は工業高校を卒業して大企業へ就職しましたが、訳あって転職を繰り返す事になりました。

2社目でも正社員として地元の中小企業に就職しましたが、ここでは長く続けられないな。と思った私は次の転職でこれまで経験していた電気や電子部品に関する知識や実績を付けたいと思い、それならやっぱり自分で回路設計するのが一番身に付きそう!ということで、30代にして未経験で回路設計業務ができる職場へ転職した時のギャップやメリット・デメリット等の私が実際に体験し感じた事をまとめました。

この時点での私の経歴

工業高校の電気科を卒業 ⇒ 大企業へ就職 ⇒ 退職し地元の中小企業へ就職し後悔する。←いまここ

正直、30歳を過ぎてから未経験で設計業務を行うのは無理かな。とも思っていましたが、結果的には高卒でもキャリアアップできたのでその詳細をご紹介します。

この体験談を読んでほしい方

  • 高卒で設計・開発系の仕事に興味がある人
  • 派遣や中小企業で働いているが、キャリアアップを考えている人
  • 工業高校卒で就職・転職に不安がある人
  • 高卒者の転職情報の実体験が知りたい人
  • 高卒で大企業に就職したけど、このままでいいのか悩んでる人
  • 派遣を選ぶか迷っている人(特に技術職)
  • 大企業→派遣って「失敗なのか?」と不安な人
  • 派遣でも成長できるのか?将来はあるのか?と悩む人

大企業からの転職を決意した理由

買収による職場環境の変化

高卒でも運よく大企業に就職できて、なんだかんだで約12年務めました。

給料もそれなりに上がってきて、人間関係も良好。職場でも中堅クラスとして順調に毎日過ごしていましたが、他の会社に買収された事で環境が激変。

仲の良かった同僚や後輩、上司もほとんど辞めてしまいました。

買収による職場環境の変化

その時点では職場に不満は少なかったですが、人がどんどん辞めていき業務量が激増した事に嫌気が指したのと、それにともなう会社の将来性が不安になり1回目の転職を決めました。

このとき私は29歳(30歳になる年)でした。

中小企業での経験と再びの転職

中小企業で感じたギャップ

前職に嫌気がさして大企業から中小企業へ転職した私は、もともと大企業で10年以上働いていたわけだし、中小企業なんて楽勝だと思っていましたが、中小企業には大企業には無い苦労がありました。

裁量労働制で実質残業代が出ないことや、人手不足による業務量の多さ(自部門だけじゃなく他部門の仕事もしないといけない)、ドラマや漫画でしか見た事がなかったようなパワハラもありました。

再度転職を決意した理由

あと数年とかなら働ける自信がありましたが、定年まで後30年以上働くのは無理と考えた私は、約3年務めたその会社を辞め2度目の転職をする事に決めました。

これが32歳のときです。

30代未経験から回路設計職への挑戦

転職活動で重視した条件

すでに1度転職をしている私は、また転職を失敗しないように「これだけはゆずれない」という条件をいくつかだす事にしました。

その時に出した条件はこんな感じです

  • もしまた転職する事になってもキャリアアップになること(私の場合は回路設計職)
  • 年収は最低でも500万円以上
  • 土日休み(完全週休二日)
  • 電気・電子系の職種
  • 現在の自宅から通える(妻の希望)

結構厳しい条件だったと思いますが、探してみると意外とあるもので、求人サイトでも沢山お気に入り登録しましたし、転職エージェント数社からも連日おすすめの求人が届きました。

応募企業と選考結果

それなりに好条件を求めて転職活動を進めたので、やはりそれなりに名前の知られた大企業への応募が多くなりましたが、それなりに順調に転職活動を進められました。

企業名は伏せますが、応募した企業(業種)と選考結果は次の通りです。

応募企業選考結果備考・理由
自動車関係
(大企業の本社)
書類審査落ちこれまでの経歴と上手くかみ合っていなかったと思う
自動車関係
(大企業のグループ会社)
最終面接辞退他の内的先に決めたため
転職前(1社目)の企業
(買収されていない他の事業部)
書類審査落ち転職エージェント経由で職務経歴に関る質問が何度かあったのでいけると思ったけど書類落ち
半導体メーカ内定(辞退)職場が遠かった
回路設計の外部委託業者最終面接辞退他の内定先に決めたため
派遣会社
(派遣先は大企業の回路設計)
内定(受諾)・作っているものが面白そうだった
・派遣社員だが、派遣先は大企業で仕事内容は充実していそうだった
・給料が比較的よかった
・やってみたかった回路設計の業務ができた

何社か選考を受けましたが、転職先として選んだのは派遣会社でした。

派遣エンジニアとしての働き方

派遣を選んだ理由と不安

3社目に派遣会社を選んで大企業 ⇒ 中小企業 ⇒ 派遣社員 と順調にステップダウンしている感じはありますが、私としては派遣で回路設計を学んで次の転職で大きく跳ねてやるという意気込みで実力と実績をつけるために入社しました。

中小企業から派遣への転職を選んだ理由はだいたいこんな感じです。

  • 入社した後の派遣先の情報をしっかりと教えてくれた。
  • 超が付くほどの大企業が派遣先だと入社前に教えてもらえた。
  • 30歳過ぎて未経験でも回路設計の仕事をさせてもらえる。
  • 大企業ならパワハラとかも少なそうで働きやすいかもと思った。
  • 基本的な働き方は派遣先の企業と同じ。(就業時間8時~5時、フルフレックス、土日祝日休み、残業代100%支給など)
  • 給料は前職より下がったけどそこまで悪くない。年収で500万円超えるくらい。

派遣といっても派遣会社の正社員ではあるので、それなりの待遇にはなります。

ただ、これまでずっと正社員で働いていた私は、派遣になっても大丈夫なのかすごく悩みました。

結婚していたし、子供がまだ幼稚園児だったので、将来が不安でしたね。
やっぱり正社員に戻りたくなった時に、正社員に戻れるのかな。。。とか

もしこれから派遣になろうか考えている方も同じような悩みをもっていると思います。

不安に思っていた事は大体こんな感じです。

  • 長く安定して働く事ができるのか。
  • 給料は今後ちゃんと上がるのか。
  • 社会的な信用はあるのか。(クレカとか住宅ローンとか組めるのか)
  • 派遣でもちゃんと仕事を任せてもらえるのか。
  • 派遣から正社員に戻りたくなったときに結局中小企業にしか行けないんじゃないか。

結論から言えば、派遣エンジニアとしての転職経験はその後のキャリアアップに活かす事ができたので、結果的に私のした選択は正解だったかなと思っています。

実際の業務内容と職場環境

派遣会社への転職を決めて、あくる年の4月1日に無事派遣会社へ入社した私は、初日から派遣会社にはいかず、派遣先の企業へ出社するよう伝えられていました。

後から回りの同業者に聞くと、派遣って自分の会社に行くことも実はあまりないらしいです。
まぁたしかにいってもオフィスしかないのであまり行く必要ないですね。

正社員でもなく派遣としてまったく知らない大企業へ一人でいくのは正直めちゃくちゃ緊張しましたが、会社につくと、自社の社長と営業(面接とか事前に派遣先の事を教えてくれた人たち)が来客駐車場でまっていてくれました。

そして派遣先の会社で上司になる方(課長)が駐車場まで迎えてきてくれて、私は引き連れられ配属部署へ。

派遣の扱いってどんな感じなんだろう…ときっとみんな賢いんだろうな…やっていけるかな…と不安でしたが、私の上司(リーダークラス)にあたる方は私よりも1歳上で年が近いこともあってとても話しやすい人でした。

同じ部署には他の派遣の方も何人かいて、私が派遣だからといって変な目で見られる事もなく慣れた感じ。

というか皆めっちゃ良い人でした。よく気にかけてに話しかけてくれるし、仕事で分からない事を聞いても即答してくれるし、パワハラらしいパワハラも無いし。多少の休憩は自由にとって良いよって言ってくれてたしめっちゃ仕事しやすい環境でした。

派遣エンジニアへ転職して感じたメリットとデメリット

配属前に感じていた不安はどれも杞憂で、少し将来的な不安はあったもののずっとここで働きたいと思いましたね。

派遣エンジニアになったメリットや良かった内容をまとめるとこんな感じです。

メリット:スキルアップと柔軟な働き方

  • 未経験の職種でも大企業で働けて、レベルアップできた。
  • 仕事内容は派遣だからといって低レベルという事はなく、意思決定に関わらない範囲で全面的に任せてもらえた。
  • 正社員によくある年一回の目標設定とか直接業務と関わらない事はやらなくて良かったので煩わしさがなかった。
  • 良くも悪くも重い責任を負う事がない。
  • 周りの人はみんな賢くて優しくて尊敬できる人ばかりだった。
  • 有休もフレックスも自由にとれて理由を聞かれるような事はなかった。
  • 年1回の昇給で給料もちゃんと上がった。

デメリット:正社員との待遇差と将来性

逆にデメリットや気になった事も当然ありました。

  • 正社員の人達と比較すると給料レベルは当然低い。
  • 年齢が上がるとさらに同年代社員との年収差がでてくる。
  • 少なくとも派遣先の会社で派遣から正社員になるのは無理っぽかった。(以前いた会社では派遣から正社員になっていた人が結構いたので)
  • 実務は正社員並みに任せてもらえるが意思決定は出来ないのでマネジメントに関するキャリアアップは出来ない。
  • 年一回の派遣先との契約更新の前はすごく不安になった。

私は上昇志向があまりなく、そこそこの仕事でそこそこの給料をもらえれば良いタイプなので、デメリットよりもメリットの方が大きかったです。

残業も0~多くても20時間程度だったので、体感的にはほとんど定時で帰れて、責任のある仕事はしなくて良くて、でも実務で知識や経験はちゃんと積めて、年収は500万円後半くらいとほぼ文句なしでした。

たぶんそのまま勤めていても50代とかになったら年収700万円台とかはあったと思います。

待遇・年収の変化と正直な感想

より詳細な正社員と派遣の違いを思いつく限りあげてみます。

正社員(大企業)正社員(中小企業)派遣
年収(転職前年度の年収)550万円(29歳)680万円(32歳)580万円(34歳)
年収(仮に同じ歳までいた場合)700万円(35歳)650万円(35歳)600万円(35歳)
扶養手当ありなしあり
通勤手当あり(ややマイナス)あり(大きくマイナス)あり(ややプラス)
家賃補助あり(少額)なしあり(会社の7割負担)
その他福利厚生かなり充実一応ある一応ある
社内でのポジション中堅社員としてある程度は責任ある仕事もこなす・肩書は無いが〇〇責任者を名乗らされる。
・担当業務はほぼすべて自己責任
・派遣なので微妙なポジション。
・権限は無い。
経験・国内出向や海外出張駐在もあり色々経験できる
・将来に向けてマネージメントについても研修する
何でも自分でやらないといけないので様々な経験が身に付くが社内の研修などはない基本的には担当業務(私なら回路設計)とそれに付随する業務だけを行う
将来性・マネージャーになれれば年収4桁目指せる
・収益は安定していて潰れるような事はまずない
・マネージャーになれても大企業の一般職並みの給料
・いつ売り上げが下がるか不安
・ずっと大企業と契約しつづけられれば安泰
・不景気になると派遣切りにある可能性はある
有休取得・自由。前日申請でも理由は聞かれない
・当日に会社から連絡がくることもまずない
・申請書に必ず理由を書くように言われる。
・当日は朝から電話とメールが会社から来て、休めるのはお昼の前後と17時以降
・自由。前日申請でも理由は聞かれない。
・当日に会社から連絡がくることもまずない
残業時間入社当時は毎月40h超え
最期の5年位は20h/月程度
少ない時で20h/月
大体が50~70h/月
0~20h/月
平均すると10h/月程度
残業代の支給15分単位で100%支給なし(裁量労働制)1分単位で100%支給
ハラスメンント昔は多少あったが、最後の数年は無かったパワハラはざらにある。毎日怒鳴り声が聞こえる。(セクハラはさすがになかった)派遣先による

自分で表にしてみて気が付きましたが、やっぱり中小企業ってキツイですね。よく3年も務めてたなと思います。

給料以外の面ではほぼ確実に派遣として大企業に勤めていた方が良いです。

もし給料が30代で400万円前後とかならもうその会社で働く理由は無いと思います。特別な技術や知識がなくても、ちゃんと人との関りが持てる人なら30代未経験でもそれなりに給料だしてくれる派遣会社はあります。

現職から声をかけてもらっていなければ、もしかしたら一生派遣で満足していたかもしれません。

正社員への復帰とキャリアの展望

派遣経験が評価され大企業への転職

私が現職に転職したのは、「あなたの職歴に興味があります。こんな求人を応募しているのでご検討いただけませんか?」と会社側から求人サイトを通じて声をかけてもらったからです。

なので、正直に言えば派遣から抜け出すために何か努力をした訳ではないです。

ですが、やはり社会的にも正社員の方が信用あるし、友達とかに派遣ってちょっと言いづらいんですよね。

いつかは正社員に戻りたい。でももう中小企業はには戻りたくない。最後に転職するなら大企業の正社員だなと決めていたので、もし機会があればいつでも転職できるように求人サイトの職歴は最新の状態にしておいて、定期的に求人サイトやエージェントに良い転職先がないかの確認はしていました。

あと、一番こだわったのは今は派遣だけどステップアップのための経験を積んできていますよ。派遣になったのにもちゃんと理由があるんですよ。というアピールができるような職務経歴を作成する事でした。

一社目(大企業):電子機器の品質保証 ⇒ 二社目(中小企業):電子部品の品質保証 ⇒ 三社目(派遣):回路設計

というように、電気・電子に関する経験や知識を広く持っています。派遣になったのも30歳を過ぎてからもっと回路を学びたくてその環境に身を置きました。というようなアピールができる内容にしています。

結果的に実力重視の大企業から声をかけてもらって、すんなり大企業の正社員へ戻る事ができました。

これから派遣を考えている方へのアドバイス

派遣エンジニアも悪くないですよ。給料は派遣先の正社員よりも少ないですが大企業へ派遣してもらえればそれでも十分食っていく事はできますし、職場環境も良いです。

もしもあなたの給料が同年代の平均よいずっと低い、サービス残業が多い、ハラスメントが横行している、将来性がないなど不安があれば、そんな中小企業に長く務めるより派遣の方がよっぽどましだと感じています。

もしこれから本当に派遣になろうと思っている人がいれば、ここだけは押さえておいて欲しいです。

  • 派遣会社の正社員になる。(日雇いや登録制の派遣ではちょっと厳しいかも)
  • 派遣先は出来るだけ大企業を希望する。
  • 自分のキャリアアップになるような業務のできる派遣先を希望する。
  • その他細かい就労条件などもしっかりと確認する。

すでに日雇いの派遣なんだけど…という人は派遣会社に正社員になれないか相談してみるか、ちゃんと正社員で雇ってくれる派遣会社に転職する事をおすすめします。

正直、派遣会社への転職ってめっちゃ簡単ですよ。私なんてまずは会社の説明させてくださいって言われて近所の喫茶店で色々と話しををしたら、もうこれで合格で大丈夫ですって言われてその場で内定もらいましたw

そんな簡単に自分の環境が好転する可能性があるなら、私は絶対やってみるべきだと思います。

転職って逃げてると思われがちだし、それこそ派遣への転職=底辺みたいなイメージはありますが、実際は全然そんな事ないと思いますよ。

というか、まともな人間は派遣だからとかで人を馬鹿にしたり見下したりしないです。私が一社目の大企業に勤めていたときも、派遣社員だった先輩を尊敬していましたし、会社が変わった今でも一緒に遊ぶほど仲良いです。

人を大卒とか正社員とか、学歴や肩書でしか見れない人間はしょせんその程度の器の小さい人間だと思います。それこそ中小企業にそういう人は多いですね。自分より下を見つけて喜んでいるような奴。

そんな奴は放っておいて、あなたは自分のやりたい事をやるべきです。

まとめ|派遣は結果的に「通過点」だった

正直、ずっと派遣でもよかったのですが、運よく私のアピールが大企業の求めていた求人に合致したことで、最高の転職先を見つける事ができました。

現在は、前職までと同じ品質保証の業務をしていますが「回路設計とか技術の分かる人材が欲しかったんだよ」と入社後に歓迎してもらって、結果的に派遣になったこともキャリアの一部として貢献してくれました。

これから派遣を考えている人も、現在派遣をやっていて正社員を目指している人も、本当に大切なのは、バイトとか正社員とか派遣とかじゃなく、これまでの自分と現在の自分と将来の自分をいかに上手くつなげてそれをアピールできるかだと思います。

そのための情報収集や、定期的な職務経歴の更新といった労力は怠らないようにして欲しいです。

労力といっても、月に1回とか何カ月に1回とかのレベルなので。

もし私の経歴で参考になる事があれば相談でも質問でも受け付けるので、いつでもご連絡ください。(すぐに返信できなかったら申し訳ないですが必ず返信します。)

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